
近年、Web広告やSNSなどを活用したデジタルプロモーションが集客や売上に直結しやすい販売促進活用のひとつとして、注目を集めています。
しかし、「デジタルプロモーション」という用語そのものは聞いたことがあっても、言葉の意味や具体的な事例まで理解しきれていない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、デジタルプロモーションの用語解説や具体的な手法、成功事例などを紹介します。自社のデジタルプロモーションを成功させたい方はぜひ、参考にしてみてください。
デジタルプロモーションとはそもそも、何なのでしょうか。以下では用語の概要とメリット・強みを解説します。
デジタルプロモーションとは顧客データやITなどを使用し、企業が商品やサービスを宣伝する販売促進です。
テレビCMや紙媒体とは異なり、主に動画広告やSNS広告などのオンライン環境での実施が可能で、低コストながらも、広範囲のターゲットに自社の商品・サービスをアプローチできます。
またインターネットやアプリ、AI等のデジタル技術を活用して市場活動を行うデジタルマーケティングとは異なり、デジタルプロモーションは広告宣伝に特化した活動を行う点が特徴的です。つまり、デジタルプロモーションはデジタルマーケティングの一部とも言えます。
デジタルプロモーションの主なメリット・強みは以下の3つです。それぞれ見ていきましょう。
デジタルプロモーションのメリットは、紙媒体のマーケティングと比較すると、修正と効果検証が容易で、時間と手間が節約できる点です。デジタルツールを使用する分、正確なデータ収集が可能で、効果検証が迅速かつ簡便にできます。
さらに、デジタルマーケティングは効果検証の結果を次の施策に活かしやすい点もメリットです。データを数値化できるため、SNSのアクセス増加率や広告クリック数、コンバージョン数などを明確に把握できます。
KPI(重要業績評価指標)やKGI(重要目標達成指標)などの目標設定を明確にしながらPDCAサイクルを回し、効果の最大化を図ることが可能です。
デジタルプロモーションは、インターネットを活用して広告宣伝活動を行うため、時間と場所の制約を受けずに実施できる点がメリットです。
アナログ形式のプロモーション(テレビCMや紙媒体など)では、特定のタイミングや限られた顧客にしかリーチできません。このような形式は宣伝広告できる場所や日程に制限がある分、情報を届けられる対象は限定的でした。
しかし、デジタルプロモーションは常に世界中の顧客を対象に、いつでもどこでも自社の商品やサービスを広告宣伝できるため、より多くの顧客に認知を広げるチャンスを得られます。
デジタルプロモーションはAIをはじめとした最新のデジタル技術を使用して、特定のターゲットに絞って広告を配信しやすい点がメリットです。
例えばユーザーの性別や年齢、居住地、職業などの属性情報を活用し、ターゲットを絞り込むことがデジタルプロモーションなら可能です。
この特性を活かせば、ユーザーの行動をリアルタイムで分析し、購買に結びつきやすい特定のターゲット層に向けて、自社の商品やサービスの魅力をピンポイントで効率的に広告展開します。
デジタルプロモーションの種類は多種多様です。以下で代表的な手法を5つ解説します。
ポジショニングメディアとは、自社の商品やサービスに関心をもつ特定のユーザーを集める手法です。
露出面を強化する通常のSEO対策やWeb広告とは異なり、ポジショニングメディアは自社商品を導入したいユーザーの創出を主な目的としています。
不特定多数のユーザーではなく、既に興味を持っているユーザーに焦点を当てるため、拡散力は弱いものの、購買率を高められる点が特徴です。
例えば自社と親和性が高いユーザーを対象に、専門のWebメディアを構築し、自社商品に強い導入意欲をもつユーザーを効率的に集客できます。
成約率の上昇や成約までのリードタイムの短縮や受注単価の増加、大型受注の実現など、営業に関連する要素も大幅に改善できる可能性があります。
SEO(検索エンジン最適化)とは、検索エンジンで特定のキーワードが検索された際に、自社コンテンツを上位表示させるための対策です。ユーザーは通常上位に表示されたコンテンツを閲覧するため、上位表示されることで集客効果を高められます。
また、MEO(マップエンジン最適化)とは、Googleマップ向けのエンジン最適化で、自社コンテンツをマップ上で上位表示させるための対策です。
例えば飲食店や宿泊施設など、地域密着型やエリア内に競合が多いビジネスにとっては、MEOも効果的です。MEOも上位表示を実現することで、低コストかつ継続的な集客ができます。
SEOとMEOはどちらも、オンラインプレゼンスを高め、顧客を効果的に引き寄せるための重要な手法です。
Web広告は、Web上のさまざまな媒体に掲載される広告形式です。主要な種類にはリスティング広告やFacebook広告、X(旧:Twitter)広告、YouTube広告、ディスプレイ広告などがあります。
Web広告はターゲティングを行った上で広告を配信できるため、特定のユーザーセグメントへの広告リーチが可能です。
コンテンツの内容が準備できればすぐ広告を掲載できるため、急なプロモーションやキャンペーンにも迅速に対応できる点も、Web広告の特徴です。
一方で、Web広告を継続的に実施するにはコストがかかります。したがって、広告予算の管理や収益性の確保が必要です。Web広告は効果的なリーチと迅速な広告配信が可能な一方で、広告費用の調整やROI(投資対効果)の最適化が求められます。
オウンドメディアとは、ホームページやブログ、SNSアカウントなど自社が所有するメディアです。これらを活用すると、集客から販売までを直結させることが可能であり、同時にブランディングの効果も期待できます。
企業自身がコントロールできるため、自社のビジョンや目標に合わせたコンテンツを展開できる点が特徴的です。顧客との直接的なコミュニケーションを促進し、信頼性やプロフェッショナルなイメージを高められます。
また近年はオウンドメディアだけでなく、ペイドメディア(広告費を払うメディア)やアーンドメディア(ユーザーによる自然な拡散を促すメディア)なども、活用されています。これらのメディアを組み合わせ、デジタルプロモーションを展開することで、より効果的なマーケティングが可能です。
ソーシャルギフトとは、相手の住所を知らなくてもメールやチャットツールを通じて、プライバシーを守りながら気軽に贈り物できるサービスです。イベントへのお礼やサンプルの配布などを通して、自社の新商品のプロモーションや購入、体験などへ誘導できます。
ソーシャルギフトの手順はとてもシンプルです。贈り手がサービス上でプレゼントを購入し、受け取り用のURLを受け取り手に送り、受け取り手がURLを通じて手続きを行います。受け取り方法は、店舗受け取り型と宅配受け取り型の2つが主流です。
今では電子チケットや電子マネーを贈る「eギフト」の利用も拡大しています。またEC事業者は既存のソーシャルギフトプラットフォームを利用して、自社の商品やサービスをソーシャルギフト化が可能です。例として、gifteeの「eGift System」や「LINEギフト」が挙げられます。
近年、様々な企業でデジタルプロモーションが実施されています。以下では主な成功事例を5つご紹介します。
資生堂はInstagramを活用し、約40名の専属ヘアメイクアーティストによる美容動画を配信する「いっしょにビューティー」キャンペーンを実施。プロのアーティストがメイクのテクニックや道具の手入れ方法、マッサージなどの情報を提供し、自宅で美容を楽しむヒントを提供しました。このキャンペーンは多くの女性に人気を集め、資生堂のブランド認知を向上させました。
また別の動画コンテンツを活用した事例として、ベネッセホールディングスの事例が挙げられます。ベネッセホールディングスでは、コロナ禍で多くの幼稚園・保育園が休園となった際、オンライン幼稚園を提供。子ども向けの学習動画コンテンツを提供し、非会員ユーザーにもアクセスを許可しました。柔軟な対応と親子に寄り添ったサービスが評価され、140万人以上の利用実績を獲得し、認知度を向上させました。
ソフトウェア企業のワンダーシェアーソフトウェアは、YouTube登録者が7万人を突破したことを記念し、Xフォロー&リポストキャンペーンを実施。参加条件はXフォロー&リポストで、70名に777円分のデジタルギフトをプレゼントしました。賞品の発送手配が簡略化され、気軽に参加しやすい企画になったことも起因し、最高のインプレッション数とエンゲージメント数を達成。SNSを介した当選者からのポストも増加しました。
また、家具・インテリアの販売を行うニトリでは、「2023年の新生活応援キャンペーン」を実施。参加資格はXアカウントのフォローと特定のタグを使用して「おすすめのニトリ商品」を引用リポストすることで、30名に2,000円分のニトリ商品券をプレゼントしました。ニトリのブランド力と多様な商品ラインナップもあって、キャンペーンは大反響をよび、1週間で4,550件の引用リポストを獲得。自社商品の宣伝と売上アップに成功しました。
株式会社GA technologiesが運営する不動産マーケットプレイス「RENOSY」は、新規顧客を獲得するために、メルマガやLINE経由の資料請求キャンペーンでデジタルギフトを導入。メルマガやLINE経由の資料請求(新規顧客)を参加条件とし、先着50名に1,000円分の選べるデジタルギフトをプレゼントしました。
以前のキャンペーンでは同じインセンティブを繰り返してきましたが、ユーザーの飽きが生じたため、新しい要素として「選べるデジタルギフト」を導入。ユーザーはギフトを自分で選べるため、新鮮味が増し、結果的にコンバージョン率(CVR)が約3倍向上し、新規顧客獲得率も約15ポイント改善されました。
ライオン株式会社のLideaでは暮らしに関する情報提供を目的とし、特定のユーザーにターゲティングされた情報提供や、検索上位を狙ったSEO設定を実施。SEOに注力したことで、Webサイトへの流入が2倍以上に増加しました。
また、ライフスタイル特化の情報メディアとして知られる、株式会社カカクコムの「キナリノ」では、ECサイト「キナリノモール」との連携を強化したことで、高品質なコンテンツと再訪問を促す導線設計に成功。ユーザーをファン化させ、商品購入とのリンクにつなげました。
株式会社USENでは、SNS広告の成果を詳細に数値化し、最適な広告を行うための改善を実施。媒体ごとに適切なプロモーション方法を分析し、以前の2.3倍のコンバージョン増加を実現させました。
デジタルマーケティングでは数値分析と論理的な分析が重要ですが、株式会社USENでは費用対効果を最大化するための努力を行ったことで、成功に繋がった事例です。
デジタルプロモーションを活用すると、動画広告やSNS広告などのデジタル技術を使用しながら、自社商品やサービスを効果的に広告・宣伝できます。
より良い改善方法を知りたい企業の方は、ぜひ本記事で紹介した事例のポイントを押さえて成功に近づきましょう。
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